実証実験の背景と目的
ビジョンサービスは、静岡県のインバウンド課題解決に関するスタートアップ支援プロジェクトに採択され、焼津市と連携して、観光特化型AIチャットボットを活用した実証実験に取り組みました。
近年、生成AIの普及やインバウンド需要の拡大により、観光地には「必要な情報を必要なタイミングで届けること」に加え、利用データを分析し、観光施策へ活かすことが求められています。
本実証では、
- 多言語による観光案内の充実
- 観光資源の周遊促進
- インバウンド旅行者の行動・ニーズの可視化
をテーマに、AIを活用した新たな観光サービスの可能性を検証しました。
AIチャットボットの活用
焼津さかなセンター、焼津市観光協会、湊のやど汀家など、市内の観光拠点へQRコードを設置し、旅行者がスマートフォンから手軽に利用できる環境を整備しました。

焼津市役所内に設置したAIチャットボット焼津観光案内のQRコードポスター
スマートフォンの言語設定に応じた多言語表示や選択式の案内に対応するとともに、焼津市観光協会ホームページからも利用できるよう整備し、現地とWebの双方から活用できる仕組みを構築しました。
さらに、位置情報とチャット利用データを組み合わせることで、観光案内にとどまらず、旅行者の行動や興味・関心を可視化する仕組みの実証にも取り組みました。
実証から得られた成果
実証期間中のアクセス数は3,600回超。
焼津さかなセンターで開催されたイベントでは約1,000件のQRコード読み込みを記録しました。
利用者の約63%は1〜2名の少人数旅行者で、英語・中国語・韓国語での利用も確認され、インバウンド旅行者への有効性を確認しました。
チャットでは、飲食店や観光スポットに加え、営業情報や季節のイベント、桜の開花時期など、その時期ならではの質問も多く寄せられました。

焼津さかなセンターのイベントでAIチャットボットを体験する来場者
また、位置情報とチャットログを組み合わせて分析することで、旅行者の周遊傾向や興味・関心を把握できることも確認しました。AIチャットボットが観光案内だけでなく、地域の情報発信や観光施策の改善につながるデータ基盤として活用できる可能性を確認できたことも、本実証の大きな成果の一つです。

AIチャットボットの利用位置情報を可視化した分析マップ
データを地域の未来へ
AIチャットボットは、質問に答えるだけのツールではありません。
蓄積されたチャットログや利用データを分析することで、旅行者の興味・関心や周遊傾向を可視化し、情報発信や観光施策の改善へ活かすことができます。
旅行者へ必要な情報を届けることと、地域にデータを蓄積すること。その両方を実現できることが、今回の実証で確認できた大きな価値です。

実証期間中の利用状況を可視化したダッシュボード
ビジョンサービスが目指す地域DX
ビジョンサービスは、システムを導入して終わりではなく、地域とともに育てる情報基盤づくりを目指しています。
Webサイト、FAQ、構造化データ、Googleビジネスプロフィール、AIチャットボットなどを組み合わせ、旅行者にも生成AIにも正しく伝わる情報環境を整備するとともに、公開後も継続的な分析と改善を行っています。
AI時代に求められるのは、情報を「作ること」ではなく、「育て続けること」。
ビジョンサービスは、今回の実証で得られた知見を活かしながら、自治体や地域事業者の皆さまとともに、持続可能な地域DXの実現を支援してまいります。